新型コロナの影響による巣籠もり需要の高まりにより、コト消費よりもモノ消費が重んじられるようになり、残された数少ないコト消費といえる旅行も、公共交通機関を利用することが避けられています。モノ消費かつ旅行に活用できるという意味で、今は空前の車需要といえる時期です。しかし、同じく新型コロナの影響による先行きの不安により、多くの方の視線は安価な中古車に注がれているようです。そうなると、新車のしかも価格帯が高い輸入車の販売数は落ち込み、それに対応する形で値引き額も通常より多く期待ができます。
そこで、今回はコロナ禍の中で逆張りで輸入車の新車や中古車を購入するにあたり、初めて輸入車を購入される方に焦点を当て、戸惑うと思われるポイントについて解説します。
なお、購入方法については、残価設定型ローンを想定しています。(この情報は2021年1月時点のものです。)
輸入車ディーラー選び
輸入車ディーラーは、仮に隣接しているお店であっても、ホームページを確認すると別会社ということが有り得ます。そのため、運営会社別の相見積もりを取ることをお勧めします。もちろん、価格差のみではなく、お店や担当者の雰囲気を考慮することも大切です。
しかし、ブランドによっては県内に1件しかお店がない場合もあり、遠い隣県のディーラーまで検討対象とするのは定期点検の事を考えると悩ましいかもしれませんが、この点はポジティブに考えることも可能です。
例えば筆者は、遠い都内の臨海地区のディーラーで車を購入したことがありますが、定期点検の日はお台場で遊ぶ日と割り切って、午前に車を預けて夕方に受け取ることで、都内の人気観光地でありながら無料駐車場として使え、同時に点検も受けられるという逆転的な使い方をした事もあります。
太客ではないことを正直に伝える
ここが最も気にかかっている方も多いと思いますが、高級輸入車ディーラーにどんな車で行くとまずいのか、どんな話をすればいいのか、値引きは切り出せるのかといった点については、一言で言えば気にしないことが一番です。ただ、長いスパンで見ると自分の首を絞める行動もあるので、以下に幾つかの良くないパターンを書いてみます。
Aさんは細かなことを全く気にせず、着のみ着のまま車も汚れたまま、気になる輸入車のある県内唯一のディーラーに向かいました。服装や車に頓着しなかったのは、畏まった風に行くと逆に舐められるのではと思ったからで、また、相手は客商売である以上見た目で客を判断するはずはなく、不相応な低年式国産車で来ても即決で買う客もいるはずだからちゃんと対応をしてくれると思ったからです。 ところが、その日は生憎と店内にスタッフが少なく、そのスタッフも常連と思われるお客さんと話し込んでいたり、商談についている状況です。Aさんはやむなく店に飾ってある車を眺めたりドアを開け閉めしたりしますが、一向にお店の人が来てくれません。しばらくすると女性スタッフが戻ってきて声をかけ、係りの者が対応中のため、カタログを見ながらお茶を飲んで待っていて貰えるかと聞いてくるが、なんとなく出鼻を挫かれた気分になったAさんは、それを断り帰ってしまう。それ以来そのお店へは足が遠のいてしまいました。 |
輸入車ディーラーの口コミで低評価をしている方によく見られるコメントに、「客が来ても応対すらしない」というものがあります。これに限っては巡り合わせもあり、飛び込みで行ったらスタッフが納車(式)により不在だったり、逆に閉店間際などでスタッフの絶対数が少ない時間帯もあります。また、飛び込みの自分より大事にしたいお客さんがいることにも理解を示してあげる必要があります。本来は商談や雑談を一旦中断して、一声かけて名刺を渡し、あとは実車とカタログをご覧くださいと席に座らせ、事務スタッフにお茶を指示するくらいの対応はあって然るべきですが、入れ替わりの激しい業界ですので、そこまで周りが見られていない場合も多いです。
オンラインカタログやYouTubeのある時代ですので、展示車やカタログを見ても特に意味はなく、試乗なり値引きの商談なりができなければお店に来た意味はありません。招かれざる客だなどとは思わず、タイミングが悪かったなと判断して出直すことも大事です。なにはともあれ、変に自分の中だけで拗らせないようにすることが肝要です。県内にお店は数えるほどしかないのですから、自分の中でNGのお店を増やしてしまう事は勿体ないです。
ただ、筆者は遭遇したことはありませんが、お客の車を見て対応を変えるような店もあるとは聞きますので、下取り対象として考えていない車で行くことや、あまりに汚い車で行くことは控えたほうが良いです。また、車情報のブロガーやユーチューバーと呼ばれる人達の中には、朝イチに自転車でやってきて、やれ撮影をさせろ、カタログをよこせと好き勝手言いつつ、宣伝をしてやっているんだという考えを持つ人もいるらしく、自身がまだ買う気の無い冷やかし客であったとしても、そういった類の招かれざる客と思われないだけの最低限の立ち居振る舞いは必要です。
Bさんは一目惚れした輸入車の購入検討をすべく、HPやYouTubeで研究を重ね、SNSで値引き情報を収集し、ローンのプランも試算を重ね、最低グレードで、かつ〇〇円の値引きを受けられれば購入可能という結論を出した上で、満を持してディーラーに向かいました。 担当が付いてすぐに、「この車のこのグレードで検討をしている」と伝えると、とんとん拍子で試乗を行い、見積もりも作ってくれましたが、肝心の値引き欄は空欄のままです。「いかがですか?」と言われても、定価で買うわけにもいかず、Bさんう~んと悩む演技をした挙句、定価の見積もりとカタログだけを貰って帰ってきました。 |
お店の人に希望を伝えるのは大切なことですが、伝えるべきことと伝えるべきでない事がある程度あります。特にデリケートな値引きに関する話を切り出しにくい方も多いと思いますので、そういった話がスムーズにできるだけの情報出しをして、相手に考えてもらう形とすることが重要です。
Bさんの場合は、車種のみならずグレードまで伝えてしまうことで、価格の検討も済んでいる客であると思われてしまった事に問題があります。事前にどれだけ研究済であっても、プロの説明で初めて耳にする情報もありますので、最初は気になる車種のみを伝え、複数あるグレードの説明と価格を聞いてみることが重要です。この時、自分がこの車に詳しい事をアピールする必要はありません。前述の「招かれざる客」と勘違いされてしまうこともありますので。
すべて聞いた結果、自分の予算では一番下のグレードしか有り得ないということと、それに加えて上のグレードにも未練があることを伝えておきましょう。なぜ上のグレードもなのかというと、車は巡り合わせで、たまたまお店が持て余している在庫車や展示車があり、下のグレードに近い値引き価格で案内されるなど、思いもよらない嬉しいオファーがあるからです。もちろん最低グレードかつ展示車で値引きを受けられれば最も安く購入ができますが、最低グレードの展示車は、展示されてすぐに予約をする掟破りな常連もいるため、こういったオファーの話には出てこない場合が多いです。
次は値引きに関する話となりますが、ここはこちらも手札を見せる譲歩が必要です。先に相手に「幾らなら買えるか」というカードを場に出されると、否応なくこちらの手札を全てオープンする羽目になってしまいますので、その前にこちらからカードを場にオープンしましょう。最初に見せるカードは、月に可能な支払額です。「これが限界で、これより安いことに越したことはない」と伝えることで、逆算的に値引きが必要となることが明らかになり、それを踏まえた見積書を作成してくれます。
ここから更なる値引きを狙いたいところではありますが、輸入車は段階的な値引きをしない場合が多く、この金額であればという希望を下回る値引きが得られたら、あまり粘らずに購入へ進めるか、一旦持ち帰るかしましょう。目安としては、月の後半に交渉をしていて、「納車は来月以降だが下取りを今月中にさせてくれれば……」といった話が出てきたら、値引きの限界に達していると考えるのが良いかもしれません。
他県や遠方からの購入
県内のディーラーで思った値引きが得られない場合は、他県に候補を広げる事となります。ここで注意すべき点は、他県で新車購入をする場合は、定期点検もその会社へ出す必要があるという点です。購入だけして点検は県内のお店で、という希望も受け入れられる場合はありますが、その場合の値引き額は少なくなることを覚悟しましょう。ただ、輸入車の場合はディーラーと異なる場所で点検を行う場合もあり、購入時よりも更に遠くへ定期点検を受けに行く必要があったり、逆に思ったより近い場所で定期点検を受けられる場合もあります。定期点検がどこで受けられるかの確認も欠かさずしておきましょう。
輸入車の金利
輸入車を新車で購入する場合、残価設定型ローン等を活用することで、低金利や金利ゼロとできるキャンペーンを行っている場合もあります。残価設定型ローンのデメリットについては別のコラムで書いてありますので、よろしければご一読ください。
金利がゼロである事は当然月々の支払いを楽にできますが、その他にも、現在残価設定型ローンで支払いをしている国産車の高い金利を一旦清算のうえ下取り額に加え、新たに輸入車の金利に入れ替えるという考え方もあり得ます。(あまりに下取り額より残債が多くなる場合は、頭金としての相殺を勧められますので注意が必要です。国産車は金利が高い場合が多く、思ったより残債が残らない場合もありますので、まずは相談です。)
諸費用
国産車ディーラーの場合、見積書の諸費用の項目で、税金を除いた部分はすべてカットしてみせる数字のマジックを披露するところもありますが、輸入車の購入の場合はあまり期待はできません。それどころか、下取り車を持ち込めば0円になるはずの納車費用についても、「納車前後に纏わる諸経費」という扱いで、一切減額もできない場合が多いです。当然豪華な納車式が行われる場合もありますので、あまり目くじらを立てずこの部分は受け入れる方が良いでしょう。
一般的にディーラーオプションはお店の儲けとなるため、フロアマットやコーティングやアクセサリ類が多ければお店は喜びますが、輸入車は最初からオプション類が付属して売られている場合が多く、お店の儲けを出す場所が少なくなっています。できるだけ値引いてあわよくば上のグレードに、という思考よりも、下のグレードにディーラーオプションを多めに付けるなどでお店の取り分を増やしてあげることを念頭に考える方が、結果として円滑に交渉が進められるかもしれません。
どうしても難しければ中古車も
やはり交渉を行った上でも購入に踏み切れる価格ではなかった……という場合は、中古車の購入もあり得ます。待てるのであれば、約3ヵ月のサイクルでやってくる展示車の入れ替えタイミングに、入れ替わる展示車や試乗車を買う方法があります。一般的に中古車検索サイトなどに掲載される展示車や試乗車落ちの車はだいたい6ヵ月前の登録となっていますが、それは中古車検索サイトへの掲載が許されるタイミングであり、実際にはそれより数ヵ月も前に販売は始まっています。そのタイミングで車を購入するには、兎にも角にもお店から案内を受けねばならず、担当者に欲しいけど買えない状態であることを認識してもらう必要があります。
正規ディーラーでの購入であれば中古車でも2年程度の保証が受けられますが、正規ディーラーではない業者から購入をする場合は、修理費がそのまま自己負担となり、予想外の出費に見舞われる事があります。もしも正規ディーラーではない業者から中古車を購入する場合は、新車保証が継承される3年以内の高年式かつ、地元のディーラーでの新車保障継承の実績のあるところから購入しましょう。お店によっては正規ディーラーとのパイプがあり、未走行で内装もビニールを被っている中古車を販売し、新車保証継承もそのお店でスムーズにできるなど、非常にお得に新車同然の車を買えるお店もあります。