高級車の世界でも環境や財政に優しいクリーンディーゼルエンジンを採用した車は数多くあります。また、昨今のSUV車の人気を後押しする要因としても、その重たい車体を軽々と動かすトルクフルなディーゼルエンジンは大きな存在感を放っています。
しかし、昔からディーゼルエンジンに触れてきた方からすると、トラックに搭載されていた煩いエンジンというイメージは残っていることでしょう。当然現在の最新のディーゼルエンジンはそれらのネガティブ要素の多くを克服したものですが、その最新の状態でガソリンエンジンと同じ土俵にあげてみた場合、一体どちらを選べばよいのか? そういった考え方をしてみたいと思います。
※ 両者を比較をした一覧は各所で見られることと思いますので、ここでは逆に私見だけでお話をさせて頂きます。
購入価格
現在のところ、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの価格差は小さいところで20万円、大きいところでは50万円となっています。2018年11月時点ではエコカー減税による取得税・重量税の免税と、1年目の自動車税の減税により、おおよそ20万弱の出費が抑えられるので、その差は更に縮まります。
維持費
多くの輸入車ではハイオクを使うことが当たり前ですが、ハイオクの価格に比べ、現時点では軽油の価格は80%程度となっています。クリーンディーゼル車の普及故か、レギュラーガソリンと軽油の価格差はどんどん狭まり、パーセンテージで語るよりも、リッターあたりハイオクより10円安いのがレギュラー、30円安いのが軽油という考えが近くなっています。
価格も低いですが、燃費についてもディーゼルの方が大幅に優れていて、恐らくこちらは150%以上の効率がでることでしょう。加速の項目でも改めて触れますが、ディーゼルエンジンの大きなウイークポイントの1つである低速~中速の加速の悪さについては、スポーツモード等の燃費効率を落として強い加速力を得るモードを多用することで克服が可能と言えます。また、それを行っても燃費が逆転することは無いでしょう。
維持費については、ディーゼルエンジンに大きなアドバンテージがあります。
※ただし、ディーゼルエンジンにはアドブルー補充やガソリンエンジンより大量のエンジンオイル補充が必要となるため、メンテナンスパッケージ等の加入が前提となります。
音・振動
いいくるまがいいくるまたる要素の1つとして、静粛性や振動の少なさは無視できません。その部分で見ると、ガソリンエンジンに比べ、ディーゼルエンジンには不適切と思える欠点が多くあります。
そういうもの、と割り切れば済む問題ですが、ディーゼルエンジンのアイドリング時のカラカラ音や、低速での加速時の特徴的な低く唸るようなエンジン音は、いいくるまとしての品格を落としかねないものと言えます。また、ただ単に「運送トラックと似た音がする」というシンプルな理由で嫌う方もいるでしょう。各社それらの音を抑えたり変音したりと工夫を凝らしていますが、ガソリンエンジンの”あの音”が正統なエンジンの音という認識が存在し、それを更に昇華させた先としてF1カーの甲高いラッパのようなエンジン音があるという建て付けで考えられている以上、それと全く異質なディーゼルエンジンの音は、優れた音と言われる事はないでしょう。
振動についても同様で、ディーゼルエンジンの方が大きな振動があります。これも改善が日夜続けられ、また振動で起こる副次的な音は、車の作りの良さに大きく影響を受けるため、言うほどの差があるのかと言えば、車種によっては無いものもあるでしょう。ただ、近頃は当然に搭載されているアイドリングストップ機能によるストップ&ゴーなど、音・振動にまつわるディーゼルエンジンの大きな問題点はまだまだ残されています。
音・振動についてはガソリンエンジンに大きなアドバンテージがあります。
加速
ディーゼルエンジンは低速~中速での加速の伸び悩みがあり、燃費の良さによるスポーツモード等の活用なくしては、ガソリンエンジンより見劣りすることは確実でしょう。
逆に100キロ走行付近での更なる加速についてはディーゼルエンジンの衰えない加速は素晴らしく、速度と共にどんどん音と回転数が上がっていくガソリンエンジンに比べてゆったりとした運転感覚が得られます。
とはいえ、100キロオーバーの加速機会もほぼ無く、信号でのストップ&ゴーの集合体である日本の一般道を走るのであれば、利点を多く発揮できるのはガソリンエンジンと言えるでしょう。
加速についてはガソリンエンジンに少なからずアドバンテージがあります。
登坂力・トルク
こんな項目を用意するのはアンフェアにも感じますが、ガソリンエンジンに比べ、ディーゼルエンジンの坂道での走りの良さは比較に及びません。これは険しい峠道に限らず、ちょっとした坂道や、乗客を満載している時の急発進などでも大きな違いを感じるため、あながち一部の人に限った話というものでもありません。
登坂力についてはディーゼルエンジンにアドバンテージがあります。
総評
総合的に見れば、ガソリンエンジンに一日の長があります。ただし、長距離を走る方や燃費を無視できない方にとってディーゼルエンジンが大変に心強い相棒であることは間違いありません。
管理人は燃料代を気にせず走れるようなご身分ではない為、現在はディーゼルエンジンを選んでいます。ただし、常時スポーツモードの恩恵を享受しているので不満はありません。